ロイヤルホテルの晩餐会
華国鋒
華国鋒は中華人民共和国の元国務院総理、中国共産党の元主席です。毛沢東の忠実な部下で文革時代に出世した人物でしたが、毛沢東の死後、四人組を逮捕させて文革を終了させた立役者として有名です。後に鄧小平との権力争いに敗れ党主席を辞任したりしましたが、党内では2008年に亡くなる寸前まで長くそれなりに影響力があったみたいです。日本にも二度来たことがあります。
大阪歓迎晩餐会
1980年5月に公式訪日し大平首相と会談、天皇陛下に謁見しました。その後京都を訪れ周恩来の詩碑を見たあと大阪に来ました。父はこの時も通訳として呼ばれ晩餐会に出席しました。もちろん華国鋒の通訳ではありませんが大阪府知事や大阪市長の挨拶などを通訳する大事な仕事だったみたいです。
通訳のお仕事はつらい
父は何度もこのような中国政府訪日代表団の晩餐会や午餐会の通訳として呼ばれたことがありました。
だいたいは始めと終わりの挨拶の通訳、途中の会話での通訳をします。普通、このような挨拶は事前に書面でもらって翻訳をしてから臨むのですが、ほとんど間際、当日始まる寸前になってからもらうこともあるそうです。しかもせっかく翻訳したけれど、事前と違う事を言ったり、アドリブを入れたりすることもあるそうで、その場合はすぐに訳す必要があり、非常に神経を使ったそうです。
公式行事の通訳
大きな宴会だと二三人の日本側通訳が居て、中国側にも通訳がいるのですが、メインの通訳となると公式の挨拶になりますので、きちんとした言葉で喋らなければなりません。メインの通訳はとてもしんどいと言ってました。
通訳は詐欺師になれるの?
しかし父は少々間違っても友好的な事を言っておけばどっちも喜ぶから楽だ、一種の詐欺だと言ってました。知り合いの翻訳者の方も、通訳は身振り手振りが使えるし表情もあるのでやりやすい、しかも言葉は消えるから楽だ、文字で残る翻訳のほうが気を使うと言ってました。
大阪ロイヤルホテル
大阪で当時このような要人が来た場合、中之島にあるロイヤルホテルを使うのが普通でした。ロイヤルホテルは大阪を代表する格式高い大型ホテルで、皇族や外国の政府関係者がたびたび利用するため、大阪の迎賓館の役割をになっていました。
格式高いホテル
今でこそジーンズなどの普段着でも利用できますが、以前はきちんとした服でなければ入場さえできなかったと言われました。私はこのグループホテルの大阪グランドホテルで結婚式を挙げましたが、どのホテルマンもキビキビと動いてサービスも良かったのを覚えています。
私も食べたい!
父はこのようなところで何度も通訳をしましたので、ほとんど食べれない時もありましたが、それでもそれなりに美味しいものを食べて帰ってきました。母は食べることが大好きなので、それがとてもうらやましく思っていたそうです。
そこで父に華国鋒一行の料理を食べたいと言ったところ、父もまともにゆっくり全部食べてないので行こうとなりました。ロイヤルホテルに予約の電話をして華国鋒のメニューを食べたいと言ったところ、一人七万円だったそうです。今でも高いと思いますが1980年の大卒初任給が12万円ぐらいの頃です。もちろん中止になりました。
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