猿谷ダムと祖父
猿谷ダムは1958年に完成した重力式コンクリートダムです。大和盆地の水不足を解消するため水源として紀ノ川(吉野川)の水を送ろうとしましたが、今度は紀ノ川沿いや紀伊平野が水不足になるので十津川(熊野川)と紀ノ川を総合的に開発してそれぞれの水不足を解消する『十津川・紀の川総合開発事業』の一環として造られてダムです。
猿谷ダム
ダムの堤高は74m、堤頂長は170mあります。ここで貯められた水は阪本取水口から紀の川水系へと送られます。このダムを建設するにあたっては色々とあったみたいで、Wikiの猿谷ダムの項目を見るとなかなかおもしろいです。やはりダム建設は難しいのですね。
祖父は運転手
祖父は戦前からエンタク(市内を1円の均一料金で走ったタクシー)や郵便局の運転手として働き、中国では八路軍(中国共産党の軍隊、人民解放軍の前身)の運転手として居残り、日本に帰国後も港湾局で運転手をしていたみたいです。昔の自動車の運転手は運転だけをする今と違って車全般の事、整備士みたいな事もしました。
運転手はなんでも屋
それは今と違って車の性能が格段に悪く、故障も多かったからその場で自分で修理する必要があったからです。そのため、自動車の運転手は車のプロとして給料も良かったみたいです。
有名な運転手
そんな祖父が十津川の電源開発株式会社に雇われたのは祖父の妹が奈良県五條市に嫁いでいて、その紹介で行ったそうです。なかなか腕は良かったみたいで、老人ホームに入ってからでもタクシー会社に電話すると、あの萩野さんで通じるくらいでした。
猿谷ダムへの道
猿谷ダムは熊野川の上流にあるダムです。熊野川は紀伊半島の南端、新宮で太平洋に流れ着きますが、猿谷ダムへ行くには新宮からでは非常に遠いため五條市から天辻峠を越えていきます。今でもそれなりの山道ですが祖父は新天辻トンネルが出来る前の旧道を走っていました。
祖父の運転は一流。でも荒い
母は一度祖父の運転で作業員宿舎まで行ったそうですが、ガードレールは無いしクネクネ曲がってるし、それなのにすごいスピードで走るから死ぬかと思ったそうです。残念ながら私は祖父の運転する車に乗ったことはありません。
国道168号線
私が20歳ごろにこの道を通って新宮まで遊びに行きましたが、一車線でカーブばかりの道は先が見えないのでとても怖かったです。友人に言わせると、このような道は夜のほうが安全だ、なぜなら周りが見えないので崖の高さもわからないから怖さなく、しかもライトを点けるのでカーブでも対向車がすぐにわかるからだそうです。この国道168号線も今ではクネクネ道もだいぶ解消され二車線の箇所も増えました。
幻の五新線
ちなみに五條市から十津川村を通って新宮市までを鉄道で結ぶ計画もありました。五新線と言ってこの猿谷ダム近辺までトンネルを掘ったりしてましたが、国鉄の財政難により中止となり、今ではその廃線跡の一部が観光資源になっています。
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