モリサワ ROBO-X その2
専用機と汎用機
現在の版下作成方法はパソコンを使ったDTPが主流です。パソコンは普通の電気屋さんで売っている汎用機で、あとはソフト、アプリを入れればすぐに誰でも作成することが出来ます。
もちろんプリンターもスキャナもカメラも汎用品でそこそこのレベルのものが安く手に入ります。しかし昔はそのような版下などのプロレベルのものを作成する装置はメーカーさんが作る専用機でないとだめでした。
しかも専用機なので非常に高価でした。専用のパソコンと専用のソフト、専用のフォント、専用のプリンターと専用の記憶装置と、下手すると専用の机と椅子も必要でした。
高額だけどしっかりとしたサポート
そうやって導入するのですが、良いこともありました。それはサポート体制がしっかりしていたことです。何かあって電話をすればすぐに駆けつけてくれるのです。そして部品の交換や修理をすぐにしてくれて、解決するまで最後までつきあってくれるのです。
ハードだけでなくソフトももちろん不具合があればすぐに対処してくれました。今の汎用機だと自己責任で、すべて自分で解決しなければなりません。そこが大きく違うところです。
うまく動かないロボット
さて、そうやって導入したロボット写植機ROBO-Xですが、すぐには上手く動かなかったそうです。実はまだ開発中の箇所があったみたいで、なんだかんだとモリサワの担当者がゴソゴソといじって調整をしたり、付属のパーツだけでは足りないので追加発注したりと本体を動かすのに苦労をしたそうです。それだけではなく、中国語の文字を打つための準備も必要です。文字コードを突き合わせる作業に一年かかってようやく出るようになりました。
母怒る
経理をしていた母は、こんな中途半端なものを売りつけたと言って支払いを拒否しました。払わないと言ってるのではない、ちゃんと動くものだったらすぐに払うと言って結局支払いは一年後になりました。その間、モリサワの営業担当者はなんぎしたそうです。まあ、そりゃそうですよね。
動くようになったロボット。さあ働け!
さて、無事に動くようになったROBO-Xですが、やはり危惧していたように生産性は上がりません。
まずその処理能力に見合う仕事をしてもらおうとすると、文字入力するのにそれなりの人手が要ります。もちろん入力は外部の入力専門のところに依頼することも出来ますが、ネットの無い時代ですから原稿やデータの持ち運びもしなければなりませんし外部に依頼するとやはり入力チェックも必要です。
次にコマンドを入れるのですが、これも割と面倒です。コマンドはたくさんあるし、指示原稿が中途半端な時もあるので、その時はスペースから文字数を考慮して計算したり、ある程度勉強をしなければ出来ませんでした。
することはいっぱい
しかしコマンドをちゃんと入れたと思っていてもその結果が思ったとおりになるとはかぎりません。出してみるまで結果はわからないのです。そしてROBO-Xにデータをセットすると勝手に文字盤が動き出して気持ちよくガシャンガシャンと打ち出していきますが、こんどは文字盤の入れ替え、印画紙の交換とすることは沢山ありました。とても思っていたような生産性はあがりません。
時代の流れは早かった
そうこうしているうちに時代は電算写植システム、DTPの時代に入っていきます。ロボット写植機の時代はあっという間に終わってしまいました。
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