電算写植システム MK-300とライノトロン202E

当時作った会社案内
当時作った会社案内 1991年頃

自動写真植字機ROBO-Xの時代はすぐに終わりました。次は電算写植システムの時代になります。電算写植は今のパソコンのようにフォントデータを使って印画紙に焼き付けるシステムです。フォントデータさえあれば大きさも斜体、長体なども自由自在に変化させることができました。しかもWYSIWYG(ウィジウィグ)が出来たのです。 WYSIWYGとは、「What You See Is What You Get」の略で、「ウィジウィグ」と読み「見たものがそのまま得られる」画期的なシステムだったのです。

間違ったらやり直し
手動機の時には文字を打つとその位置に対応する盤面に点をつけました。単なる点なのでどれくらいの大きさなのか、書体はどんなものなのか、そしてどんな文字を打ったのかは印画紙を現像するまでわかりませんでした。せっかく打っても間違った文字や大きさだったらまた一からやり直しです。一文字や二文字ぐらいだったらその箇所の文字だけ切り貼りして修正をしましたが、大きさや一行の幅、行送り、書体などのどれか一つでも間違えたらまた全部やり直しになりました。

MK-300で日中混在画面
MK-300で日中混在画面

文字が見える
印画紙になるまでどうなっているのかわからなかったのが、この電算写植システムでは印画紙になる前にどんな文字を打ったのか、大きさはどうだ、レイアウトはどうだということが画面上でわかります。したがって訂正や修正がすぐに出来たのです。文字校正などは画面上ではやりにくいかもしれませんがちゃんと紙へのプリンター出力も出来ました。高価なレーザープリンターでしたが解像度が良いので細かい文字でもきれいに印刷されました。印画紙に印字するまでに校正が出来たので無駄がなくなり、きれいな版下が一発でできるようになりました。

MK-300
MK-300

中国語版MK-300
うちの会社は中国語の翻訳会社なので中国語がでなければなりません。そこで父はモリサワの担当者に中国語版の電算システムの相談をしました。さすがモリサワです。出てきたのがこの中国語版MK-300です。基本的な構造は日本語版と同じですが、盤面が中国語用になっていました。この盤面で長文を入れることはほとんどありませんが、それでもうちの会社では重要な事でした。

文字コード混乱期
現在のパソコンではあまり気にしませんが、この頃はパソコンにしろ電算システムにしろ文字コードが非常に重要な構成要件でした。中国語の文字コードには大きく二種類ありました。大陸で使っている簡体字のGBコードと、台湾や香港などで使っている繁体字のBig-5コードの二種類です。この二種類の文字コードには互換がなく、一度どちらかに決めてしまうと別の文字コードのフォントなどが使えません。とても重要な事なのです。
父は自分自身が簡体字に慣れていたこと、大陸向けの仕事が多かったことを考えてGBコードのシステムを入れました。

ライノトロン202E
一番奥の機械がライノトロン202E

そして出力は電算写植機「ライノトロン202E」
印画紙への出力はライノトロン202Eを使いました。このライノトロン202Eはどこかにあった中古だったみたいで、基盤の接触が悪いのかよくエラーが出ました。それでもきれいに印字されたものが高速で静かに出てきたのでたいへん重宝しました。ただフォントの種類が少ないので派手なデザインのものは出来ませんでしたが、ページ物や日中混植のものが簡単にできるようになりました。しかもデータに保存できるので改訂版や取説のバージョン違いなどが簡単にできるようになりました。

これらのシステムは1990年9月ごろに導入しましたが、MK-300は600万円、ライノトロンは中古でしたが800万円ぐらいしたみたいです。しかしこの電算システムもすぐに汎用パソコンを使ったDTPシステムに置き換わることになります。

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写植MK-300,モリサワ

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